「弓かけの選び方」〜初心者の方が一番難しい、弓かけの選び方について〜
弓がけ(ゆがけ)について
弓道の道具で弦を引くために右手を保護する目的にて使う弓具を 「弓がけ」と呼びます。
「弓かけ(ゆかけ)」「かけ」などいった呼び方もしますが、全て同じ弓具の名称となります。
「鹿革について」
弓かけの素材は、鹿革で出来ております。
基本的に子鹿一頭で一つの弓かけが作られておりますので、大変貴重なものとなります。
鹿革は、軽くて丈夫でありキメが細かいのでしっとりした肌触りがあります。
吸水性や保湿力が高いので、他の革に比べて水に強い特徴があり通気性も優れていて蒸れにくいことから、湿気の多い日本では古くから武具などに使われる革であることから、弓かけの革として、古くから使われるようになり現代に続いております。
さらに素晴らしいのが他の革よりも抜きん出た 柔軟性 です。
鹿革は適度な伸縮性を持っているので、数年間 お手入れをしなくてもしなやかさを失いません。革そのものが老化しにくいのも柔軟性を保つ理由です。
ちなみに、牛革だと数年間手入れをしないと色あせて固くなりますが、鹿革は色彩も柔軟性も長期間失うことなく保たれます。
現在は牛革に比べると馴染みがありませんが、非常に優れている特性から日本では古くから鹿革が使われてきました。
ただ、牛革に比べて鹿革の多くは野性のものから作られることが多いので、供給量が少なく牛革ほど多く出回っていません。その為 弓かけに使われる革なども角キズがついているものが多くあります。
「弓かけのサイズの選び方とつけ方(挿し方)について」
弓道を始める際にまず、弓道衣と一緒に購入することが多いのが弓がけになります。弓道衣や矢などの道具に比べて、長く使用する弓具ですのでご自身の手に合った弓がけを選ぶ必要があります。
最初は、どれが自分に合っているのか解らないと思いますので、弓がけ選びのポイントについてご説明いたします。
「弓がけを付けて紐を巻いていない状態」
1)親指の又の部分が浮いていないことを確認
2)人差し指の革が余っていない
3)中指の革が余っていない
4)親指(帽子)が奥まで届いていること
上記の状態になっていることが前提になります。
次に第2段階として、弓かけの紐を巻いてから以下の確認を行います。
「弓がけの紐は、緩く締めてください」
紐を巻く際にきつく締めてはいけません。弓かけは、最初親指部分が固く接着されていますので、きつく締めると正しい取りかけができず、「矢こぼれ」や、「暴発」といった射の問題がでるようになります。弓がけの紐は、手首の可動域が確保できる程度に締めてください。
弓がけを付けて紐を巻き取りかけの形にした状態にて
1)親指の先が奥から少し浮いていること(これが一番重要です。)
2)上記の状態で親指が中で少し動かすことができる状態であること
3)人差し指・中指の革が余りすぎていない事(多少余ることは、大丈夫です。)
「紐の巻き方について」
弓道教本には、規定がない部分になりますが、手の内側にて最後は巻き終えるようにしてください。又、ネクタイピンや金属製クリップなどで留めたりしないでください。
(万が一離れの際に後ろに飛んでしまうと危険性があるためです。)
「色などについて」
最近は、本体や紐などもカラフルなものが販売されるようになりましたが、弓道場にて弓道衣を着用した際に、合う色の弓がけをお選びされる事をお勧めいたします。
翠山がお勧めする弓がけの管理方法について
弓がけの使用後のメンテナンスや管理方法についてご説明いたします。
弓がけは、革の特徴上、吸水性が高く通気性に優れておりますが、初夏から初秋までは、手につける弓具ですので、汗をたくさん吸ってしまいます。この状態にて、しまうと革の劣化やカビなどが繁殖してしまいますので、必ず日陰干しをしてください。
特に夏場の練習後は、特に汗を吸ってしまっているので、ドライヤーなどを使い乾かすことも必要になります。
シリカゲルなどを使いしまわれる場合もありますが、この場合は、必ず革が乾いた状態でしまうことを強くお勧めいたします。
ぎり粉(滑り止め)の使用量について 【Point ぎり粉は松脂で出来ております。】
新品のときは、こまめに使いますが量につきましては、耳かき一杯分を2回分程度が適正量になりますので、ある程度使用を重ねていくことで1日1回程度の使用量に抑えるようにしてください。
ぎり粉の使用する量が多いと、弓かけ本体の革が黒くなります。又、ぎり粉が重なりすぎることで、滑りやすくなり射に影響がでるようになりますのでお気をつけください。
上記のような状態ですと、夏場は、粘り気がでてしまい弓かけとして使用する事が困難になりますので注意が必要です。
【Point】 使用する上で、ぎり粉の適正量を守ることで長くお使いいただけます。
「管理方法(収納について)」
弓かけは、手拭を使いしまうことをお勧めいたします。手拭は、通気性が良く弓かけのサイズとの相性も良いですので使いやすいです。
合切袋や袱紗袋(袱紗)などを使うこともお勧めいたします。