弓の素材について知る〜グラスファイバー・カーボン・竹〜
弓の素材には、グラスファイバー・カーボン・竹の3種類がございます。
今回はそれぞれの素材の特性についてご紹介いたします。
形状が変化しにくく丈夫なグラスファイバー弓
グラスファイバーというのはガラス繊維のことで、元々は石だったものを加工して使用しております。
グラスファイバーにもグレードが様々あり、スポーツ用に使われているのはSグラスファイバーというものでございます。
グラスファイバーは丈夫な素材で、本来伸び縮みしないものでございます。
伸び縮みしないものを弓にしているため、弓を引いたときというのはグラスファイバーを無理やり縮めている状態になります。
そのため、矢を放った際に圧縮された力も開放されるため、強い反発の力が加わり矢が早く飛ぶのでございます。
ただし、その圧縮された力の分だけ手に振動が伝わりやすくなり、ぶれやすくなってしまいます。
そのため、グラスファイバー弓を常に使っておりますと、振動を抑えようとして硬く握ってしまいがちなので、注意が必要です。
形状が変化しにくく弾力性があり、矢が良く飛ぶグラスファイバーは、初心者の方に特におすすめの弓と言えるでしょう。
軽くて丈夫なカーボンファイバー弓
カーボンファイバーは炭素繊維でできております。
グラスファイバーよりも軽い素材でありながら、強さと丈夫さを兼ね備えた素材でございます。
小柄で弓を引く力が弱い女性は、矢が的まで届かないことがございますので、カーボンファイバー弓がおすすめです。
しかしながら、カーボンファイバー弓は矢どころが乱れやすく、射型も乱れやすくなってしまいます。
弓の持つ性能が良いからと言って、いろんな方に合うのか、的中が向上するのか、
と言われればそんなことはございません。
弓道というのは正しい射型で弓を放つことが大切です。
ご自身に合う素材の弓をお選びいただければと存じます。
美しい射型で矢を放つことができる竹弓
竹弓は上段になってからお使いになる方が多く見受けられます。
竹弓はグラスファイバー弓やカーボンファイバー弓に比べ、矢が飛びにくく、壊れやすいものでございます。
初心者の方がお使いになると、なかなか的中しないこともございます。
ですから、上段になってからお使いになる方が多いのです。
上段になってくると、弓道が一競技として行っていたものから、精神修養のためのものへと変化していきます。
弓道は弓道教本に即して行っていくものでございますが、弓道教本は竹弓しかなかった時代に作られたものでございます。
ですから、弓道の目標である「真・善・美」を極めようとする方は、おのずと竹弓をお使いになることと存じます。
竹というのはグラスファイバーやカーボンファイバーと違って天然素材ですので、伸び縮みするものでございます。
ですから、弓を引いた際にも力がたまらず、矢がなかなか飛びませんが、その分弓から伝わる振動がございません。
振動がないため、美しい射型を保つことができます。
そのため、段位を上げたいと考えている方には竹弓がおすすめなのでございます。
弓はご自身に合ったものを選びましょう。
3種類の弓の素材には、それぞれ特徴があることがお分かりいただけたかと思います。
どの弓をお選びになる場合にも大切なことは、ご自身に合っているかということでございます。
弓道具というのは、高いからと言って良いものであるとは限りません。
お使いになる方の体格や、弓道歴などによっても合う、合わないがございます。
弓をお選びになる際にお悩みごとがございましたら、指導者の方にご相談いただくことが一番良いかと存じます。
指導者の方にご相談された上でも解決しないことがございましたら、
私たち翠山弓具店は自身も弓を引く弓道家として、アドバイスできることもあるかと存じます。
是非お気軽にご相談くださいませ。