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翠山雅

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弓道具の選び方

弓道で使われる的について知る

現在、弓道の近的競技で使われているのは「霞的」「星的」と呼ばれる2種類の的でございます。
一般の方や中高生が競技を行う際には、通常は霞的を、
大学生が競技を行う際には星的を使うことが一般的です。
ちなみに、霞的・星的を競技に用いる際、的中の判定はあたりかはずれのみで、的のどこに当たろうと差はないことになっております。
今回は弓道具の中から的について詳しくご説明いたします。

霞的について

霞的の大きさ

霞的

霞的の大きさは一尺二寸(36cm)でございます。
中心の白丸の部分から順に
・中白(半径3.6cm)
・一の黒(幅3.6cm)
・二の白(幅3.0cm)
・二の黒(幅1.5cm)
・三の白(幅3.0cm)
・外黒(幅3.3cm)
と言います。
実はこの大きさについては諸説ありますが、
的の大きさである36cmは人間の胴体の大きさを表しているとも言われています。
現在では武道として心身修養のために用いられており現代弓道と呼ばれておりますが、
戦前は弓術と呼ばれ、現代弓道の「真・善・美」の最高目標と違い、「飛・貫・中」を目指した
技の競い合いでございました。
その頃は実戦を想定して弓道の鍛錬を行っていたことが、的にも表れているのでございます。
霞的の中心の中白は星とも呼ばれますが、
この星が心臓の大きさを、二の黒までが頭の大きさを表していると言われています。
つまり、星に近づくほど致命傷を与えられる、という意味があったようです。

三本の輪の由来

霞的には三本の黒い輪がありますが、これにも由来があります。
古来の日本の宮中で行われていた弓射では、大的と呼ばれる的が使われておりました。
この的は、中国の射礼にならったものであると言われております。
古代の中国では、射礼は六芸の一つと言われ、身分により
・大射(たいしゃ)
・賓射(ひんしゃ)
・郷射(きょうしゃ)
の三段階に的が分かれていたそうです。
使われていた的は正方形だったようで、
大射の際に使うのは「鵠(こく)」と呼ばれる一辺が四尺(約120cm)の的、
賓射の際に使うのは「正(せい)」と呼ばれる一辺が二尺(約60cm)の的でした。
実際に矢を射る際には、まず「候(こう)」と呼ばれる一辺が十寸(約300cm)の的を立て、
その中に大射の際には「鵠」の的を、賓射の際にはさらにその前に「正」の的を掛けて使っていたようです。
つまり、三段階に的が分かれていたのです。
日本の文武天皇が大射を行った際、中国の射礼にならい、
的を外院、中院、内院の三段階に分け、大的に三本の輪を描いたそうです。
これが現在使われている霞的の三本輪の由来であると言われております。
ちなみに中国では正方形の的が日本では丸くなった訳は、太陽信仰の影響であると言われております。

星的について

星的

星的は直径36cmの白い的に直径12cmの黒丸が描かれた的でございます。
この黒丸のことを星と呼び、「図星」の語源になっていると言われております。
こちらは簡略化した的なので、一般の道場ではあまり使われておりません。
日本では破魔矢や破魔弓が縁起物として知られていますが、
元々は濱矢、濱弓と呼ばれ、ハマとは的のことを意味しておりました。
濱弓は元々、冬至の頃に一番弱くなる太陽を、弓矢で射ることで復活させる呪術に用いられており、このときに用いられる的は太陽を表すものだったのです。
ですから星的は、太陽を基に作られたと言われております。(諸説あります。)

的の素材について

的にはビニール製の的と紙製の的の2種類がございます。
一般的には当たった時の音が良く、丈夫なのがビニール的と言われております。
実際の競技には紙的が使われることが多いようです。
的紙は下紙2枚と一緒に洗濯のりで貼って仕上げていきます。
洗濯のりにムラが出ないようにすると、上手に貼ることができます。

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