弓道における段位②
前回の「弓道における段位①」では、審査会や級位、初段についてお伝えいたしました。
今回は、弐段以上の段位についてお話をさせていただきます。
弐段について
当然のことですが、初段と弐段には合格するために必要な力の差がございますので、弐段の合格が大きな壁に感じるという方がたくさんいらっしゃいます。
高校生講習審査は初段までとなっておりますので、特に高校生の方の場合は、初段から弐段へのステップは大きな一歩となります。
弐段を受審する際には、先輩や講師の先生に教えていただきながら、弓道教本をもとに勉強しましょう。
的に中(あた)る、中らないという点は弐段の審査まで不問でございます。
そのため初段以上に、的に中るということだけでは弐段の合格は困難となります。
道場に入場するところから審査は始まっております。
審査員の先生方から見て、受審する段位の格に見合った所作・着装が整っているかの判断がされます。
初段から弐段のステップアップといたしましては、所作の流れ、息合での動きなど基本に忠実に、正しく行えることが非常に重要です。
武道である弓道の初段、弐段においては、美しい、勇ましいといった印象が求められるため、見た目や所作が大きなポイントでございます。
弐段の審査になりますと、高校生の方など若い方が受審される場合には、髪型などを含めた着装において審査員の方の目が特に厳しくなることも考えられます。
高校生の方とご年配の審査員の先生では年齢が何十年も離れていることで、美的感覚にも開きがあることも考えられますので、着装は十分に意識することが大切です。
弐段の審査を受ける際には、着装、道具の管理をしっかりと行い、審査員の先生に対して礼を尽くしましょう。
初段のときに意識しなかったこと、できなかったことを意識することによって、さらなる射品射格が芽生え、合格につながるのでございます。
近的用カーボン矢 黒鷲尾羽 6本組
初段から弐段に向けてのステップアップには、使用する道具の色目も大事でございます。
こちらの矢は、シャフトの色が茶色になっております。
弓道は本来、茶色、もしくは黒色の竹矢を使用するものでございます。
そのため竹矢に近い色を選んでいただきますと、かけの色に近く、白い道着、黒い袴、道場の雰囲気にマッチいたしますので、このようなコーディネートまで意識することが重要です。
ウッドカーボンのように竹の矢に似たものをお使いになられますと、弓道人として見た目に品が感じられ、高みを目指すという本人のやる気につながります。
8023、7620はシャフトの重さや太さが異なっており、8023が男性向け、7620が女性向けに使われることが多くなっております。
カーボン矢は、ジュラルミン矢と比べ、推進力が強いためよく飛びます。
曲がりにくく、壊れにくいという特徴を持っておりますので、安心してご使用いただけます。
近的用カーボン矢 黒鷲尾羽 6本組はこちら>
参段について
段位取得の目安といたしましては、高校生で弐段もしくは参段までの合格を目指す方が多いです。
初段、弐段における行射の審査では的中不問でしたが、参段からは的に中る、中らないという点も合否の結果に影響してまいります。
一般的には、参段ぐらいまでに着物を着用するとよいと言われております。
五つ紋に縞の袴を着用することは、審査員の先生方に礼を示すことにつながるのでございます。
こちらの着物と襦袢のセットは男性用、女性用ともにポリエステル100%となっております。
男性用サイズは7つ、女性用サイズは4つのご用意がございますので、自分の身体に適したサイズのものを選んでいただくことができます。
膝切着物襦袢セットはこちら>
弓道和服入門 男性膝切着物襦袢セット
弓道和服入門 男性膝切着物襦袢セット 特大サイズ
弓道女性膝切着物襦袢セット 紺色
弓道女性膝切着物襦袢セット 黒色
四段以上の段位について
大学生で四段に合格するというのが段位取得の目安となることがございます。
しかし、四段、五段までのレベルになってまいりますと、弓道の経験者であっても一目見て力の差を判別するということが困難になります。
審査本番のそのときの射によって、段位が決まってくるのでございます。
審査では審査員の先生方の意見が割れることが考えられます。
五段の審査からは5人の審査員のうち、4人の票がなければ合格できません。
弓道の四段以下の審査は地方審査、五段の審査は連合審査と呼ばれるものになります。
弊社翠山がございます東海地方ですと、愛知県、岐阜県、三重県、静岡県の4県合同で五段の審査を行うという形式になっております。
錬士、教士といった称号と、六段、七段、八段の審査になりますと中央審査と呼ばれるものになります。
段位と道具の関係性
私ども弓具店といたしましては、受審される際に使用する道具が段位取得のためには大変重要であると考えております。
弓道具には、弓道場の木の床、白い壁、白い道着と黒い袴に合う色のものがございます。
例えば弓、矢は華美でないもの、シャフトは茶色もしくは黒色のものを選ぶといったことから、着装や射品射格を自然と意識することで、弓道の場に適したトータルコーディネートが可能となります。
かけに関しましては、級位の場合は茶色の紐を使われることが好ましいです。
柔道の白い道着に白帯といったイメージで、かけ本体と同じ色のものを使用しましょう。
初段に合格されたときには、黒帯と同じような意味合いで紫の紐に変えられるのがよろしいかと思います。
紐の色たった一つですが、かけの本体と同じ茶色、もしくは紫の紐以外のものを使われると、審査の基準から審査員の先生方によくない印象を与えてしまうことがございます。
現在は様々な華美な弓具が販売されておりますが、審査員の先生方の目には弓道に適さないと映ることがございます。
段位の認定を受ける場である審査会では、そういったところを意識しましょう。
弓道の審査の合否は総合点で決定いたします。
射技だけでなく、着装なども含めて重要なのが武道であるというイメージをもたれるとよろしいかと思います。
翠山が考える弓道の段位
私どもといたしましては、皆様に弓道を長く続けていただくことをおすすめしております。
弓道は激しい運動を用いることがないため、生涯スポーツ、生涯武道として、健康維持に適しています。
段位を取得したい、弓道を極めていきたいとお考えの方は焦ることなく修練を続けていきましょう。
現在修練を積まれていらっしゃる学生の方は、弓道人生としての将来につながる重要な時期を過ごしていらっしゃいます。
中学生、高校生、大学生の方は部活動で最も集中的に練習をすることができます。
学生時代に集中して取り組んだ時期の財産は、大人になったときに消えるものではございません。
高校から弓道を始め、大学卒業まで7年間の修練期間で五段まで合格されるという方もいらっしゃいます。
大学卒業後に社会人となり弓道を続けた場合にも、練習の時間を確保することが困難になり、段位のレベルも違ってくることから、学生時代のように7年間で五つの段位を駆け上がるということはできません。
学生時代は、錬達者に向けた努力を重ねる絶好の機会でございます。
一般社会人になりますと、学生時代のように練習の時間をとることができない場合がほとんどかと思いますが、社会人としての生活が忙しくなる中、弓道を続けていくことができれば40年、50年という弓道人生が待っております。
週1回、2回の練習になるかもしれませんが、五段、六段、指導者としての錬士など、さらに高みを目指し、年齢を重ねながら長いスパンで弓を引くことができるような弓道人生を楽しんでいただきたいと考えております。
自らも弓を引く弓具店として、翠山は皆さまの弓道人生を応援させていただきます。