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弓道の世界

弓道における段位「着装編」〜四段、五段以上の昇段に向けて〜

弓道

前回は「弓道における段位「着物編」〜四段、五段以上の昇段に向けて〜」にて、着物に関するお話をさせていただきました。
今回は着装という観点から、高段になるにつれて知っておくとよいこと、必要になるものについてお話ししていきます。

道具を買い換える時期について

大学生の方の場合ですと、中学生の頃から修練を積まれて順調に昇段される場合、五段まで合格される方がいらっしゃいます。
一般の方の場合ですと、参段、四段までに3年から5年、五段までに10年というのが目安になります。
参段に合格されるときには、最初に道具をご購入されてから3年ほど経っていることが一般的ですから、3年前に買い揃えた道具が消耗されていることが考えられます。
こういったタイミングで一度、身の回りのものを整理されるとよろしいかと思います。
着装が重要になりますので、特に着ているものには気をつけて見直してみましょう。

段位認定を受ける試験の場は、晴れの舞台であります。
審査員の先生方に「あ、見た目がいいな」「着装も正しいな」と見ていただけることが重要になってまいります。
昇段したご自身へのご褒美に、もしくは新たな段位で心機一転といった意味でも袴のランクを上げてみてはいかがでしょうか。
袴は毎日使用するものではないため、形が変わることは意外にございませんが、色味や質感が気づかぬうちに劣化しています。
汚れが目立ちにくい黒い袴が実は汚れていることがございますし、ひだが取れかかっているということもございます。

その他にも、帯を変える、羽織や雪駄を持つということをご検討されるとよろしいかと思います。
段位が上がるに従って、必要なもの、知るべきことが増えていきます。
弓道の和の文化、和装についての知識を徐々に増やしていかれることが、弓道の昇段に必要になってまいります。

雪駄について

雪駄

弐段、参段くらいになられましたら、雪駄を持参されることをおすすめしております。
道場に行き、食事などで外出される場合があるかと思いますが、靴を履くことで足袋が汚れる可能性がございます。
特に審査の日の午前、午後の間で靴を履くときには注意しましょう。
靴は足の全面を覆うため靴の中が汚れていると足袋の上面を汚してしまいますが、雪駄の場合はそれを防ぐことができます。
着替えを行い足袋に履き替えられましたら、外に出るとき、観覧席に行くときなどに、持参した雪駄で行動されるとよろしいかと思います。

雪駄のサイズ感

雪駄の履き方の大きなポイントとして、サイズ感が挙げられます。
男女関わらず、大きいサイズの雪駄を販売しているお店は少ないです。
靴のように履くというよりも、ひっかけるというイメージになりますので、かかとがはみ出した状態が正しい使い方となります。
目安としましては、1cm程度はみ出る状態が適度なサイズ感となっております。
普段の靴のサイズが26cmだという方で、25cm程度の雪駄を履いているといったケースが一般的です。

弓道で使用する雪駄は白鼻緒が好ましいとされます。
他の色の鼻緒の雪駄も目にしますが、弓道は神事で行われることがございますので白鼻緒を用います。


雪駄はこちら>
いぐさ調雪駄 白鼻緒

かけ袱紗

雪駄の持ち運びや保管にはどういった袋を使えばよいでしょうかと、ご相談をいただくことがございます。
弊社といたしましては、袱紗袋に雪駄を入れて持参されることをおすすめしております。
本来はかけを入れるために使用しますが、雪駄を入れるのにサイズがちょうどよいため、私どもも使用しております。
和装のものから取り入れることで風情が感じられますし、周りの方からは道具の管理をきっちりしているという印象で見ていただけるのではないでしょうか。
男性のLLサイズの雪駄は、かけ袱紗に入りませんのでご注意ください。

かけ袱紗はこちら>
弓かけ袱紗袋 蜻蛉柄

羽織について

近年世間一般では和装の知識が薄れてきておりますが、着物、弓道着の上に羽織を着用されることは日本の文化として正しい着装でございます。
お好みに応じてではございますが、おしゃれに見えるという面もございますので、羽織を着用されるとよろしいかと思います。
弊社では羽織を扱っておりませんが、インターネットで検索されますと四千円くらいから五、六千円で販売されておりますので、まずは安価なものからご検討されてみてはいかがでしょうか。

胸当てについて

胸当て

段位が上がるにつれて、上着と同じ色の胸当てを着用されることをおすすめいたします。
白い弓道着なら白いもの、黒の着物の場合には黒いものをお使いいただき、その際は紐についても同じ色にされることが望ましいと言われます。

一般的に市販されている胸当てには、ゴムの紐のものがございます。
しかし、高段の方でゴムの紐の胸当てをご使用される方はほとんどいらっしゃいません。
ゴムの紐の胸当ては、会から離れのときに引っかかり弦に当たってしまいますと、矢がどこに飛んでいくか分からず、安全性が確保できません。
そのため弊社では全ての商品を綿紐に付け替え、締まりやすくすることで安全性の確保に努めております。
ご購入される場合はご注意ください。

胸当てはこちら>
胸あて 合皮レザー製
胸あて メッシュ製

家紋について

家紋

和装の世界の紋は、一つ紋、三つ紋、五つ紋と位に応じて分かれており、五つ紋をつけることができるのは師範や最高位の方だけとなっている場合がございます。
しかし弓道の世界では、段位に関係なく皆さんが五つ紋をつけることが一般的です。

昇段されて、いざ着物を作ろうと紋について調べる際、ご自身の紋をご存知ないという方がいらっしゃいます。
実際に当店で着物を作る場合に、家紋を調べる時間が長くかかってしまうお客様が多くいらっしゃいます。
弓道を始めて初段、弐段になられた方は、近いうちに参段、四段になられるかもしれません。
この機会に一度、ご自身の家紋を調べてみてはいかがでしょうか。
日本人の場合には必ず紋がございますので、実家に帰られた際などにご両親やおじいさま、おばあさまにお聞きになっておくと、紋をつけるときにお困りにならないかと思います。


今回は四段、五段以上を目指すにあたって重要になる着装についてお伝えいたしました。
弓道の和の文化、和装についての知識を増やし、これまで以上に着装に気をつけて昇段を目指しましょう。

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